言い訳。

先日に報告させてもらったとおり、スペインに来てから練習参加させてもらっていたスペイン5部のチームとは残念ながら契約することが出来ませんでした。この結果は、限られた時間の中で信頼を勝ち取ることが出来なかった僕のサッカー選手としての実力です。責任はすべて自分にあると思っています。
これを念頭においてこれから先を読んで頂きたいのですが、今回は契約できなかった原因についてひたすら言い訳をしていきます。

というのも、スペイン5部リーグはたしかにレベルが高いし、チームの選手たちも上手い人が多いです。
しかし、やれないレベルだとは全く思っていません。むしろ、このパス回し主体のチームに溶け込めば、今まで体験してなかった自分のサッカーを展開できるとワクワクしていました。にもかかわらずそのスタート地点にすら立つことができず非常に悔しい思いをしています。
ただ、結果には必ず原因が存在します。コーチ人が僕を要らないと判断した理由を僕が勝手に分析することには意外と意味があると考えています。

僕自身、今回の失敗を糧にまた次のチャレンジに活かしたいし、なによりこれから海外にチャレンジする人にとって少しでも参考になればと思います。
僕の全力の言い訳を誰かのチャレンジに役立てれば幸いです。

目次

言い訳その①コンディション不足

まず間違いなく挙げなければならないのは、僕のコンディションが100%とは程遠かった状態であったことです。

2023年の1月12日からチームに合流したのですが、僕は2022年の8月を最後に試合を一度もプレーしていませんでした。8月にオーストラリアでのシーズンを終えた僕は、数週間は完全に休み、それから1月まで日本で体を動かしていました。9月から12月は大学の練習にお世話になるも試合の機会はゼロ。12月から1月の期間は大学もオフシーズンだったため、完全に自主練習でコンディションを調整している状態でした。

個人的に体重管理や体力面もうまく調整できている感覚でした。しかし、明らかに低下していたのは試合感覚で、判断スピードや質の低下が明らかに現れていました。これが原因でミスを多発してしまっていたことが、「ここでプレーできるレベルじゃない」と判断された何よりの理由だと思います。

言い訳その②参加時期

僕はシーズン途中の移籍期間にチームに加入することを目指しました。

理由としてはニュージーランドやオーストラリアのシーズンとの兼ね合わせを考えると、この時期がベストだと思えたからです。しかし、シーズン途中でのチーム加入はシーズン前と比べて格段と難しくなると考えています。シーズン前であればある程度選手をフラットに評価することが出来ますが、シーズン途中になるとチーム状況に見合った選手が求められます。

例えば、得点不足に悩んでいるチームはストライカーを補強するといった具合です。
需要と供給、クラブと選手の双方の要望がマッチしないと移籍が実現しないのがシーズン途中での移籍です。もちろん、僕がプレーしているようなアマチュアのレベルでそこまで神経質に考え込まれているかといえば違うかもしれません。しかし、あくまで体感的にですがオーストラリアにしてもスペイン5部にしても、シーズン途中での移籍はしっかりとチーム状況に見合った選手を補強しようとしている雰囲気を感じ取れました。

ところがチームに来てみると、僕がプレーするポジションは選手層が分厚く、明らかにほかのポジションが手薄なのが明白でした。クラブが求めている選手像とはそもそも違っていた可能性もあった。というのが僕の言い訳です。

そしてもう一つはコンディション面です。これまでシーズンを戦ってきた選手たちの中に、半年以上プレーしていなかった選手が交じるには、すこしハードルが高すぎたのかもしれません。

言い訳その③コミュニケーション

一つは言語の問題です。
スペイン語が思っていたよりも手強かったことは認めざるを得ません。コーチが言っている指示が意味わからないことはもちろん、練習内容も理解できなかったことは想像を超えてきました。しかし個人的には、少し慣れればある程度理解できるようになると思っていたし、サッカーのニュアンスでうまく解釈できると考えていました。

しかし、スタッフ側からすると指示が円滑に届かない選手は不安要素でしかないことも確かです。その不安を吹き飛ばすほどの期待感をプレーで見せることが出来なかったということでしょう。

二つ目はコミュニケーション能力の部分です。
僕は言葉関係なしに人見知りだし、コミュニケーション能力は全く高くないのですが、それでもうまく切り抜けながら人生を生きてきたと思っていました。しかし今回は明らかに裏目に出たように思います。

このチームに来た時にわりと衝撃的だったのは、コーチ陣の誰からもあいさつされなかったことです。もちろんぼくから挨拶には行きましたが、そこからスモールトークが生まれることもなく素通りされました。チームのことを何も知らない状態で、ずっと放置されているような感覚でした。Welcomeされていないと正直感じていました。こんな状況と僕の性格は相性が悪く、良い第一印象を与えられなかったことも失敗の要因であると考えています。

言い訳の言い訳

これまでいくつかの言い訳をしてきましたが、では果たしてそれは避けることが出来るものだったのか、振り返っていきたいと思います。

まずはコンディション面や移籍時期について考えていきます。
100%のコンディションを維持しつつ、もっと有効な移籍時期は他にあったのでしょうか。今回、僕は8月にオーストラリアのシーズンを終えたあと、約4ヶ月を日本で過ごしました。当初は1,2ヶ月の予定であった日本滞在が4ヶ月に伸びたことには理由があります。それはビザ問題です。スペインのワーキングホリデービザを取得するには、「申請時点で日本に3ヶ月以上居住している」という条件をクリアする必要があります。

今回、僕はまさにこの条件を満たすべく、3ヶ月待ち、そしてワーキングホリデービザの申請をしました。もうすこし細かい話をすると、オーストラリアのシーズンが終わった時点でエージェントの方からは、「11月頃にはスペインにいけるだろう」と言われていたので、ビザの問題もなんとかなるもんだと思っていました。しかし、その発言にはビザのことなど考えられていなかったことに、後々気が付きました。

結局、自分で調べてスペインに行くにはワーキングホリデービザを取るのが自分にとって最良のプランであると思い、4ヶ月日本に滞在することにしました。信頼することは大事ですが、頼りすぎることは良くないという事象を身を持って経験することになりました。

どうせ4ヶ月も日本にいたならもっと滞在して、シーズンインの時期を狙ったほうが良かったのでは?

その意見は御尤もだと思います。もっと長い滞在が予め決まっていれば社会人チームなどに所属し、試合経験もしつつコンディションを調整することも出来たかもしれません。しかし、ぼくはそうしたくありませんでした。

この若い時期になるべく海外に身をおいていたい。この思いが非常に強く、サッカーで国を跨いでの移籍は難しいと理解しながらも、なるべくスムーズに移れる時期や手段を常に考えていました。そんなこともあって、強引ですがギリギリでワーキングホリデービザを取得して、1月の移籍期間でスペインに移籍することを目指しました。

スペイン語についてはもっとやれることはあったかもしれません。むしろ、こうなることは日本にいながらも分かっていました。しかし、僕はどうも日本にいながらだと外国語を話す環境を見つけるのが上手でなく、勉強のモチベーションも高く維持できません。同じことが英語のときにも起きていました。「どうせ現地に行ったら一日中勉強するんだ」その思いがあったので、中途半端なスペイン語学習になってしまっていたことは否めません。大きな課題です。

この反省を次にどう活かす

言い訳や御託を並べた上で、仮にもう一度同じチャレンジをするのであれば、何を自分にアドバイスすべきか。

僕は下調べと準備を入念にしとくべきだと言いたいです。
幸いなことに、今回僕はエージェントの方がいたので、チーム探しなどはエージェントの方に一任していました。しかし、僕はそれを頼りすぎたがゆえに自分での下調べを怠りました。これが何を引き起こしたかというと、リスクヘッジの部分です。もしも、このチームと契約できなかったときのプランBを僕は持ち合わせていませんでした。すべてをそこに賭けるといえば聞こえがいいですが、航空券12万以上かけてスペインまで行き、プランAのみで戦うというのは無謀のように思います。

例えば、
ほんとうに僕のような選手を欲しているチームを探そうとしたかといえばそうではありません。
渡航前に契約を結べるチームを探したかというとそうでもありません。
僕は自分にできる努力を完全に怠りました。そう考えてみると、今回の失敗は少しだけ必然だったかのようにすら思えてきます。

後悔のないように自分の責任で動きまくる。この準備をもっと入念に行うことを未来の自分にアドバイスしたいと思います。

国を変えての移籍の難しさと、忘れてはいけないこと

分かってはいましたが、国を変えての移籍は簡単でないと改めて痛感しました。
特にアジアとヨーロッパのようにリーグの時期がずれている地域で移籍する場合です。2022年の5月に僕はニュージーランドからオーストラリアに移籍をしました。ニュージーランドとオーストラリアではリーグの時期が同じではなく、両方のリーグを完璧にこなしながらの移籍は難しいです。5月の時点でニュージーランドリーグは始まったばかり、オーストラリアはリーグの折り返し地点という状況でした。僕はお世話になったチームをリーグ途中で離れ、オーストラリアに移籍をしました。気持ち的には寂しさもありましたが、コンディションは問題なく合流することが出来ました。

しかし、オーストラリアのリーグが終わった8月中旬はヨーロッパの移籍期間が終わろうとしている頃で、そのままの渡航は不可能でした。無理やり渡ったとしてもビザの問題に直面します。

そう考えると、やはりコンディションを維持しながらも国を変えてプレーするということはなかなか簡単なことではないと思いました。

そしてこれは大人になってから考えるようになったことなのですが、「クラブ側の視点」を持つことが非常に大切だと思っています。
今回がまさにそうだったのですが、試合に出れなかったり、うまく評価を得られなくなると、「なんでアイツが出れておれが…」と他人と比べるようになってしまいます。しかし大切なことはそんなミクロの部分ではなく、クラブというマクロの視点です。

例えば海外でプレーをしていると「やたらサポーターに好かれているベテラン」がいたりします。サポーターはその選手が見たくて試合に来るし、その選手は観客を呼べる選手であると言えます。そうなってくると監督としての選手選考の基準は「どちらがうまいか」だけではなくなってくるように思っています。仮に新人の僕とベテランの彼が同じ能力だとすると、監督に選ばれるのはベテラン選手になるはずです。なぜならそのほうがクラブにとって価値があるからです。当たり前のようですが、この視点をもっていない選手は非常に多いと思うし、現に自分も現在はそうなっています。

オーストラリアに移籍した際に、サッカーで給料をもらうということはどういうことなのか、ひたすらに考えました。抽象的な言葉で申し訳ないですが、その給料に見合った価値をクラブに提供しなければという答えが出ました。もちろん、選手として試合で活躍してチームの勝利に貢献できれば最高です。しかし、どうもその勝利だけでは見合わない給料である気がしていました。

「プレーで貢献することは絶対であるが、プレーで貢献することだけが全てではない」

僕のサッカー選手としての現在の結論です。

例えば、「違う国から来た選手として文化の違いを伝えていく」であったり、「同じクラブの子どもたちに憧られる存在になる」であったり、存在価値の発揮方法は様々です。

日本で育ち(日本のスパルタ部活文化で育ち)、ニュージーランドとオーストラリアを経験し、英語を話せるようになったいま、僕にできることはまだまだあるように感じています。

何が言いたいかというと、うまくいっていないときほど逆の立場になって考えてみることが大切だと思っています。こんな経験を、海外で、ひとりぼっちで経験していくことによって僕という人間はまた一つたくましくなれるものだと信じています。

スペインに来て4週間弱、狙っていたチームとは契約できずに、セカンドチームでもいつ試合に出られるのかわからない状況です。実力や能力とは違った他のモノサシがここには存在していることは明らかです。それでもサッカー選手である以上、試合に出る権利・信頼を勝ちとらなくてはなりません。ちなみにそんな時期にコロナにかかり練習に出ることも出来ていません。せっかく上がりかけていたコンディションも仕切り直しです。

どうやらまだまだ険しい道は続きそうですが、それでも頑張っていきます。

サッカー選手として試合に出るために。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Vegetarian x Athlete.
Football player in Australia(NPL South Australia).
Interested in Environment issues.

コメント

コメントする

目次
閉じる