気をつけないとサッカー以外にニュージーランドで働けなくなります。
そしてニュージーランドでサッカーだけで生きていくのは結構厳しいです。
7月に約一年半ぶりにニュージーランドに戻ってまいりました。連日の猛暑日から一気に真冬のクライストチャーチに環境を移して早くも一ヶ月が経ちました。試合については敗退したカップ戦weekや悪天候による試合中止などがありましたが、ようやく3試合をこなすことが出来ました。
そんな僕ですが今回はニュージーランドでサッカーをするためのビザについてお話をしたいと思います。
今年の2月にスペインで戦力外通告を受けてから、ニュージーランドでサッカーするためのビザを取得するまでに約5ヶ月要しました。
そしてようやく取得したビザで乗り込んできたニュージーランドですが、実は現地での就労は許可されておらず、働くことが出来ません。
「なぜこんな状況になっているのか。」
これからニュージーランドでサッカーしようとしている人も、そしてもっとニュージーランドに滞在するためにさらなるビザを取得しようとしている人にもどこか参考になる話があれば嬉しいです。
ニュージーランドサッカーについて
ニュージーランドのサッカーについて軽く説明します。
ニュージーランドにはプロサッカーリーグがなく、トップリーグであるナショナルリーグに所属するすべてのチームがアマチュアです。日本人にとっては聞き馴染みのあるオークランドシティもアマチュアのサッカークラブです。
したがってほとんどの選手がサッカーとは別に仕事しながら活動をしています。ふつうに月曜から金曜までフルタイムで働いて、夕方にチームの練習に参加するのが多くのパターンです。
そんなアマチュアサッカーのニュージーランドですが、オセアニア地域の大会を勝ち抜くとクラブワールドカップに出場することが出来ます。アマチュア選手でありながら世界のトップ選手と戦うチャンスが得られるので、希望があり魅力的です。
僕に関しては、プロではないサッカー選手として、プロじゃないからこそできる魅力が多くあるのがニュージーランドサッカーだと考えています。サポーターや地域の方、子どもたちやチームメイトのパートナーや家族とサッカーを通じて交流できる。そんなところに魅力を感じ、これからはもっと貢献していきたいと思えたために再びニュージーランドに戻ってきました。
しかし、ビザについては注意点が多い
海外でサッカーするに当たって必ず直面するのがビザ問題。
他ならぬニュージーランドでも同じ問題が発生します。実際に僕も約2年前にニュージーランドにいた頃、ワーキングホリデーの期限が切れてコロナの特別延長ビザで滞在していたときには、就労が出来ずに貯金が底つく寸前を経験しました。
そして今回もビザの関係で少しトリッキーな状況に直面しており、正直この先どうなるのか未だにわからない状況です。
安心してサッカーに打ち込むためにも、ビザについては知ることは必須だともいます。
ニュージーランドでサッカーするためのビザの選択肢
ここではまず、
・これからニュージーランドでサッカーをしてみたい
そんなニュージーランド一年目を迎えようとしている方に、こんなビザの選択肢があるということを紹介したいと思います。
1,ワーキングホリデービザ
まずは最強のビザ、ワーキングホリデービザです。期間中であれば就労や語学学校にも行くことができる自由度の高いビザです。ニュージーランドのワーキングホリデービザはめちゃくちゃ簡単に取れることも魅力の一つです。
懸念すべき点は唯一つ、年齢です。
30歳以下でないとワーキングホリデービザは取得することが出来ません。
これからもいくつかのビザの選択肢を紹介しますが、一年目のニュージーランドとして圧倒的におすすめはこのワーキングホリデービザです。
2,学生ビザ
語学学校や現地の学校に行ったことがないので正直あまり詳しくないですが、学校と契約を結ぶことで得られる学生ビザ。
気をつける点としては2つ。
・授業料などの費用が高い
・週に働ける時間が制限されている
僕の記憶ですが学生ビザで働ける時間は週に20時間くらいだったと思います。家賃も払って食費などを考えると、正直に言って20時間の給料で生きていくのは厳しいと思います。
あくまで貯金に余裕がある人は選べる選択肢だと思います。(僕にはその余裕はありませんでした。)
3,ワークビザ
仕事先からビザを発行してもらう、いわゆる就労ビザです。いまのニュージーランドだとAccredited Employer Work Visa というビザになります。雇用先が縛られるものの、一定の収入が見込めるので一番安定感のあるビザであると言えます。
懸念点としては、以下があります。
・スキルや経験がないと取得が難しい
その仕事先に活かせるスキルや経験がないと審査に通らないという難点があります。審査に通るためには多くの項目があり、簡単には取得が出来ない印象でした。
日本人にとっては日本食レストランなどが、ビザサポートをしてくれるというケースや募集もたまに見かけますが、飲食店は土日の就労は必須条件。週末にサッカーのある人には、選びにくい選択肢だと思います。
もれなく僕も日本食レストランで土日働くわけにも行かないし、ワークビザが取得できるようなスキルや経験がないので、ワークビザの取得は断念しました。
4,サッカークラブから発行してもらうビザ
サッカークラブから発行してもらうビザもあります。Specific Purpose Visa という名称になり、特定の目的のために取得できるビザという意味だと思います。ニュージーランドサッカーもプロではありませんが、「サッカーのために」という名目でビザを取得することが出来ます。
僕は以前のワーキングホリデービザが切れたときにも一度このビザを申請し(コロナの延長ビザで必要なくなったから取り下げた)、そして今回のビザもこのSpecific Purpose Visa で滞在をしています。
サッカーでビザを取得できて一見素晴らしく見えますが、デメリットも多いです。
注意すべき点は、
・サッカーをプレーすること以外に働くことが出来ない
要はクラブから貰う給料のみで生活をしていくことになります。
「ニュージーランドでサッカーのみで生きていくということはどういうことなのか。」
ここについては後ほど、僕のケースを例にして紹介したいと思います。
ちなみに他にもプロフェッショナルなスポーツ選手のためのビザもありますが、僕には縁のない話ですし、プロでないニュージーランドサッカーに該当するのかも分かりません。
2年目以降の選択肢として考えれるもの
先にも述べましたが、30歳以下であればワーキングホリデービザを取得することがベストな選択肢だと考えます。
そして、「思っていたよりもニュージーランドでの居心地がよく、もっとニュージーランドに滞在してサッカーを続けたい。」そんな人は2年目以降のビザを取得する必要があります。
パートナーシップビザ
基本的には一年目の選択肢から「ワーキングホリデー」が消えるだけで、ほかは変わりません。追加するのであれば「パートナーシップビザ」だと思います。
幸運なことにニュージーランドでパートナーを見つけた方は、パートナーシップビザが取得できる可能性があります。条件はいくつかありますが、
・現地のニュージーランド人
・永住権を持っている人
であれば、取得可能です。実際の僕のチームメイトや友達にもパートナーシップビザで滞在している人は多くいます。
メリットとしては、就労条件の自由度が高まることです。
ルールも頻繁に変わるし僕も詳しくはありませんが、パートナーシップビザを取得できれば、ある程度自由に働くことができるという認識です。
おすすめはワークビザ or パートナーシップビザ
仕事とサッカーの両立が鍵になるニュージーランドサッカーにおいて、おすすめは個人的おすすめはワークビザとパートナーシップビザです。パートナーシップビザに関しては運命ですので、出会いがあればラッキーということで。
ワークビザを取得したいのであれば、一年目のワーキングホリデービザからワークビザを見据えて仕事探しすることを勧めます。ビザがおりやすい職種などありますが、僕のチームメイトなどにも一年目から建築現場などで働き、2年目以降は仕事先にスポンサーしてもらってビザをもらっている人もいました。
僕はニュージーランドは一年きりだと当初考えていたので、そんな先の心配はせずにローカルカフェでアルバイトしていました。その結果、仕事先からスポンサーしてもらうという選択肢は潰えました。
現実的にはサッカークラブからのビザ
もちろんサッカーで結果を残しクラブから残って欲しいor 来てほしいと言われるのが最低条件ですが、2年目以降もニュージーランドに滞在するのであれば、Specific Purpose Visa をクラブを通して発行してもらうのも一つの手です。
実際にニュージーランドにサッカーをしに来る選手でこのSpecific Purpose Visa を取得している選手は多いです。
懸念点としては先程も述べましたが、サッカークラブ以外から給料を受け取れない。すなわち他に働くことが出来ないという点です。
それを除けばニュージーランドに合法で滞在することが出来てサッカーを続けることが出来ます。
しかし、アマチュアサッカーだからこそ、そうは簡単にいかない理由があります。
実際に僕は現地でクラブからもほとんどお金を貰わずに生活をしています。
なぜこのような生活が成り立つのか、説明していきます。
Specific Purpose Visa について(僕のパターンを例に解説)
まずはSpecific Purpose Visa のポイントについて整理していきます。
Specific Purpose Visaのメリット・デメリット
メリット:
・比較的取得しやすい
・コストがかからない
デメリット:
・現地で他に働くことが出来ない➔収入が限られる
ワーキングホリデービザをすでに使っていて、特別なスキルもない僕にとっていきなりワークビザを取得することは可能性が低い選択肢でした。
一方で、クラブ側がOKと言ってくれさえすれば、Specific Purpose Visaの取得は比較的容易だったように思います。
今回の申請で必要だったことは以下です。
・健康診断(日本の指定病院)
・無犯罪証明書
・残高証明書(100万程度)
・クラブとの契約書
多分このくらいです。あとは、クラブとの契約などにはオンラインでサインをして完了します。
残高証明書に関しては、申請する滞在期間を生き延びていけるだけの財力の証明になります。一年間でおおよそ100万円くらいでした。しかし、実際に持ち合わせていなくても証明書さえゲットしてしまえばOKということも一応記しておきます。
そして、コストも抑えることが出来ます。というのも、クラブとの契約でビザを取得する場合ビザの申請費用などをクラブ側が負担してくれることが多いです。
今回の僕のケースでも、
・ビザアドバイザーの代行費用(約10万円)
・申請費用(???)
・健康診断(3万円)
などをすべてクラブ側が負担してくれました。
本当にありがたかったです。
ちなみにですが申請をしてから発行されるまでにはおよそ2ヶ月ほどかかりました。
1−3週間で完了すると言われていたのですが、移民局に届くまでにそもそも5週間程かかり、そこから移民局とやり取りをして、3週間ほどでビザを取得できた感じです。
一方で、デメリットはやはり現地で他に働くことが出来ないという点です。
さて、アマチュアサッカーのニュージーランドでサッカーのみで生きていくことは可能なのでしょうか。
答えはYESでありNOです。
サッカーでどのくらいお金をもらえるのか
ニュージーランドはアマチュアサッカーなので給料についてもルールが定められています。
以前に調べたときですと、「$150 / 週」がMAXの給料だったと思います。日本円にして約15000円弱です。一ヶ月にして、約5−6万円といったところです。
とてもではありませんが、この給料の中から家賃や食費を払って生きていくことは出来ません。物価の高いニュージーランドではなおさらのことです。
しかし、ルールとは上手く掻い潜るために存在しているのがこの世。
ニュージーランドのチームの中には、ルールで定められた以上の給料を選手に支払っているクラブが多くあることも事実です。そういったクラブでは選手に「$500-$1000 / 週」ほどの給料を支払っています。
オフィシャルで支払うともちろんルール違反ですので、現金手渡しで記録に残らないようにしています。僕はいきませんでしたが実際にこのようなオファーをもらったことが以前にありました。
ここまでをまとめると、真面目にルールに沿って生きていくならばニュージーランドでサッカーのみで生きていくことは不可能である。
そう考えると思います。
ただ、もう一つ、それでも生き延びていける理由があります。
Reimbursement System (返金システム)
ニュージーランドサッカーはアマチュアサッカーだからこそ給料などの報酬には厳しいですが、その分選手をサポートする仕組みも存在します。
それがReimbursement という、いわゆる返金システムです。
これによってサッカーをするに当たって選手の負担となる活動費をクラブ側がサポートすることができます。
・スパイクやサッカーのための用具費
・ガソリン代
・ジムのメンバーシップ代
・移動費
このようなものが該当します。
実際に僕が今回ニュージーランドに渡航するときの航空券代もクラブが負担してくれました(死ぬほどありがたかった)。
またクラブによってはReimbursement とは別に、家賃や車を支給して生活をサポートすることができます。
例えば家などはチームメイトの家に住まわせたり、クラブの家を借りてそこにチームメイト数人を匿うというケースがあると思います。
いずれも給料を支払っているわけではないので、ルールには違反していません。
給料を貰うことは出来ないが、サポートにより支出を限りなく減らすこともできる。
クラブによってよりけりですが、こうしてサッカーのみで生き延びていくことも不可能ではないのがニュージーランドサッカーの現状です。
それでもサッカーだけで生きていくのはやはり厳しい
僕のクラブはボランティアクラブであることがある種の特徴で、現状として僕はクラブから給料をもらっていません。あるのは、数ヶ月に一回振り込まれるお小遣い程度のReimbursementのみです。
いまはチームメイトの家族の家に泊まらせていただいて家賃はかかっていませんが、その他生活費はかかります。いつまでもこの家族の迷惑になるわけにもいかないし、27歳を迎える歳でいよいよ稼いでいく力もつけたいと思っています。
今後は車も買って家も探して家賃も払ってとなると、とてもサッカーだけのお金で生きていくことは出来ません。
そんな僕に残された手段は一つです。
ニュージーランドで日本円を稼ぐという不器用な生き方
残された唯一の手段、それは日本円をフルリモートでニュージーランドから稼ぐことです。
ありがたいことにテクノロジーが発達したこの世の中、インターネットがあれば世界中のどこからでも働くことができます。今回は日本に住民票も残してきたので、税金の部分でも問題なく日本のお金を稼ぐことが出来ます。もっと言えば、受け取る通貨さえ気をつければ米ドルなども稼ぐことが可能みたいです。
こうやってインターネットを駆使してニュージーランドにいながらも日本円を稼いでいけば、ニュージーランドでサッカーしながら生活できる。僕はそう考えてニュージーランドに渡ってきました。
こうするしかないし、自分で決めたからやるしかありません。
ただ言わせてください。
ニュージーランドの最低時給は$22.7/Hour です(2023年8月現在)。
日本円にして時給約2000円弱です。およそ日本の倍です。
一方で、物価は日本よりもニュージーランドのほうが高いです。日本の倍とは言いませんが外食をすれば2000円は軽く超えてきます。
そんな国で日本円を稼いで生きていくのは、正直賢い生き方とは思えません。
それでもこの国でサッカーして生きていくためにそうしようとしているサッカー選手がここにいます。
まとめ
海外でサッカーをしていくのであればビザの問題には必ず直面します。
アマチュアならなおさらですし、好きな国で生きていくために情報を知るということはとても大切になると思います。
僕自身、最初からニュージーランドに長期滞在することを視野に入れていれば今頃こんな苦しまなくて良かったのかもしれません。
ただ、自分で決めたことだし、こういった生き方も悪くないと思うのでなんとか踏ん張って生きていきたいと思います。
ただ、これからニュージーランドでサッカーをしていきたいと考えている人には同じ道を辿ってほしくないので、どこか参考にしてもらえればうれしいです。
なにかご質問などあればいつでも相談に乗りますので、お気軽にSNSなどでDMしてください。
P.S. 記事に書いた通り、現在は生活していけるだけの仕事を日本からも見つけられていない状況です。どんなに少額だとしても今の僕にとっては貴重な活動費になりますので、応援して頂けるととても助かります。
なんとか生き延びてみせたいと思います。よろしくお願いします。
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