昨年の10月3日。日本でいう天皇杯にあたるニュージーランドの国内カップChatham cup準決勝を勝利し決勝へと駒を進めました。
それから僕たちの決勝への長い長い待機期間が始まりました。デルタ株のコロナウイルスがニュージーランドにも広がり始めたこの頃、ニュージーランド政府はまだコロナの撲滅を企んでいました。そのため、1日当たりの感染者数は多い日でも100人程でしたが、人口の多いオークランドではかなり厳しい状態のロックダウンが続きました。
それに伴い、もう片方の準決勝にオークランドのチームが残っていたためもう1試合の準決勝が行えず、決勝へと駒を進めた僕たちはひたすら待つ事しかできませんでした。
NZ FOOTBALL (サッカー協会)としても、プレーできないオークランドのチームを棄権させるのではなく、彼らがロックダウンから解放されしっかりとした準備期間を設けた中で準決勝を行いたいと常々発表していました。
そんなこんなで昨年はオークランドのコロナが収まることがなく、予定されていたナショナルリーグ(全国リーグ)もオークランドの地域を外したそれ以外のチームで開催。Chatham cupは残されている試合数が少ないことから、中止にはせず2022年に先延ばしにすることが決定しました。
おそらくこの時点で10月が終わろうとする頃。
僕はもともと2021年いっぱいでニュージーランドを離れ次の国にチャレンジするつもりでしたが、目標としていた国内カップの優勝をあと一歩のところで離れるのはなにか寂しい気持ちになり、少なくともこの決勝を戦うまではニュージーランドに残ることを決めました。ほんとうに決勝戦が開催されるのかも分からないままに。
時は流れ2022年2月。1月の下旬にトレーニングを開始した僕たちに朗報が入りました。
いまだにコロナが収まってはいない中、決勝戦の開催と日程が決定されました。
僕らが昨年待たされた要因であるオークランドのチームはなんと自ら棄権をし、残りのチームが自動的に決勝戦に駒を進めてきました。「オークランドのチームがプレーしないのであれば去年開催できたじゃん」というオチ付きの発表でした。
ともかく決勝の日程と対戦相手が決まった以上、僕らのやるべきことははっきりしました。決勝に備えてオフあけのコンディションを戻したり、チームのクオリティをあげていくことにこの1か月を費やしてきました。
しかし、決勝まであと1週間と迫った今日。ニュージーランドにオミクロンの脅威が訪れています。
今日(27日)感染者数:14,941人
27日 | 14,941人 |
26日 | 13,606 |
25日 | 13,625 |
24日 | 12,024 |
23日 | 6,128 |
22日 | 2,845 |
数日前まで1,000人を超えたあたりから急激に倍に増え始めました。
今まではニュージーランドではコロナはどこか遠い存在で身のまわり人で感染する人もいなかったのですが、ついに関係者や友達が感染するようになりました。
もしコロナにかかったらどうなるのか。
現在の段階では、コロナに感染した場合10日間の自主隔離が義務になります。それに加え、たとえ自分がかかっていなくても同居人が感染している場合も隔離が義務になります。
僕の場合、現在チームのコーチと一緒に住んでいるため、僕らどちらか一人でも感染したら2人ともアウトです。決勝を1週間後に控えたいま感染してしまえばもう「the end」です。
ちなみにですが現在はフェイズ3という段階に突入し、同居人のみの自主隔離で済みますが、つい数日前までのフェイズ2では追跡アプリによってコロナ感染者と接触の可能性があると判断された場合は通知がきて、その際も陰性結果がでるまでの7日間の自主隔離が義務でした。鬼のようなルールでした。
ニュージーランドではプロテストも起きています。ワクチンパスポートというものを持っていないとレストランなど公共施設に入れなかったり、ある仕事の人たちはワクチンの接種が義務となっています。中にはワクチンを打っていないがためにスポーツをすることができない子供もいるみたいです。何が理由なのかは分かりませんが個人的な理由でワクチンを打ちたくないという人には生きにくい世の中になっていて、それに対するデモ活動のようです。
それともうひとつ、世界ではいまとんでもないことが起きています。教科書でしか知る事のなかった戦争というものが現実に起きてしまいました。先日読んだシリアの難民バレエダンサーの自叙伝で戦争というものの恐ろしさと人々に与える影響を痛感したこともあり、未だに信じきれないのが正直です。
とにかく平和に収まることを祈ることしか僕には出来ません。
こんな感じで、またコロナの影響によって開催が不安視される国内カップの決勝戦。自分自身もコロナに感染したら出場することが出来ないのでこの1週間はなんとしても守り抜かなくてはなりません。世界ではサッカーはおろか、日常が失われ、戦争の危険に冒されている人もいる。戦争に向かったサッカー選手がいる話も聞きました。
正直、複雑です。複雑ですが僕はこの決勝に向けて、決勝が開催されることを信じてこの1週間をしっかり準備していきたい(生きたい)と思います。
20年を超えるサッカー人生、一度も華々しいタイトルを取ることが出来なかった僕ですが、ここで一度ニュージーランドを制覇してやりたいと思います。両親に少しでもかっこいい姿を見せれるように頑張ります。
後にTwitterなどでリンクをはると思うので、もしよければ「あいつ生きてたんだ」という確認も兼ねて応援してもらえたら嬉しいです。
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