「車をもたない生活」のすゝめ

朝、道路に渋滞が出来ているのを見ると少し嫌な気分にさせられる。
はたして、この中でどれだけの人がほんとうに車に乗ることを必要としているのだろうか。

ニュージーランドに来てからもうすぐ二年が経ちます。そろそろ日本に帰る計画や、次の国も決めないとなと思うのですがなかなか決まりません。ギリギリにならにと本気で動けないタイプなのかもしれません。

さて、僕はニュージーランドのクライストチャーチという町に二年近く住んでいます。クライストチャーチはニュージーランドではおそらく第三の都市で、南島では最大の都市になると思います。ですが、めちゃくちゃ田舎です。シティと呼ばれる街の中心こそ店やパブで人が賑わっていますが、それでも日本の都市のように高層ビルなどはありません。車で20分あればクライストチャーチ内どこにでもいけるというほど、小さな町です。
そんなクライストチャーチですが、かなりの車社会です。電車は町になく、バスのみ。小さな町といっても範囲はわりと広く、車がないとかなり不便です。人口も多くなく、密集して住んでいないので高校生ぐらいから車を持ち始める人が多いです。大学生くらいの歳になると、一人一台必ず持っていて、どこに行くにしても車での移動が当たり前になります。ニュージーランドでは、ある基準値を越えなければお酒を飲んでも運転してOKなので、多少お酒を飲む用事があっても全て車で移動します。

そんな町に二年近くも住んでいる僕ですが、実は車を持っていません。こんな車社会の町でいい歳して車を持っていない人なんてほぼいないのですが、それでも生き延びています。
今回はそんな僕が「車をもたない生活も悪くないよ」って話をしたいと思います。

地球温暖化や気候変動によって車や飛行機の排気ガスの削減を求められるなか

「車がないと生きていけない」

と思い込んでいる人も少なくないんじゃいかと思います。ところが意外となんとかなります。日本でも田舎に相当するクライストチャーチにて、サッカーと仕事を二年近く車なしでこなしている僕が証明しています。少しでも固定概念を取っ払うというか、車を控えるきっかけになってくれればと思います。

目次

なぜ車を持っていないのか

はじめになぜ車を持っていないのか経緯を話したいと思います。僕はニュージーランドにサッカーをしに来たのですが、一年ぽっきりを考えていました。ワーキングホリデービザにてとりあえずこの町を選んで、そこからチームを探しました。こんな乗り込み方だったので、チームのレベルもそこまで期待していなかったし、ニュージーランドのトップリーグでプレーすることも見据えていませんでした。ということで、なにがあっても一年ぽっきりでこの国を離れまた次の国に行くのがプランでした。生活して数か月、正直車が必要だなとも思ったのですが一年だけならお金がもったいないし、なくてもやっていけると思い、車はいらないという決断になりました。お金がなかったというのも一つの理由です。

ところが、渡新して数か月、コロナウイルスのパンデミックが発生しました。コロナとチーム選びが上手くいったことやシーズンでの成績などいろんなものがかみ合って、ニュージーランドのトップリーグでプレーすることになりました。この時点で、コロナが落ち着くまで当分この国でサッカーをしている方が賢明だと思い、もう一年残ろうと考えはじめました。

そう決断した時に、もう一年いるなら車を買おうと考えていました。しかし、なかなかビザの申請が進まず滞在できることが確定しなかったので、車の購入は先延ばしになっていました。
ビザの延長が確定した時、僕に残された期間は半年でした。僕が車を買おうとしてから半年経過している間に僕の心境も変化していました。この時には既に車は必要ないという考えに変わっていました。理由は三つ。

・残り半年しかないのに買うのはもったいない

・なくても一年半生き延びたという現状

・環境問題への関心が強まったこと

特に、ビザがおりるまでの半年、僕はたくさんの本を読みそこで地球温暖化や気候変動のやばさに気付かされました。これだけ社会が排気ガスを減らすことを求めているのに「ほんとうに必要ではない車」を買うことに疑問を抱きました。これがいまでも車を持っていない理由です。ちなみにですが、お金的には買うことはできました。

僕の生活について

どんな生活を送っていれば車なしで生きていけるのか。ほんとうは東京のように公共機関が充実していて車なんて全く必要ないんじゃいかとと思われそうなので、生活を紹介します。

サッカー

基本的に週三回のトレーニング(それぞれ違う場所)と週末の試合がサッカーに費やしている時間です。トレーニング場のひとつは奇跡的に家から歩いて5分の所にあるので、車は必要ありません。その他のトレーニング場や試合会場はだいたい車で5-10分、自転車で30分といったところです。天気や元気があれば自転車でいくこともありますが、基本的にはチームメイトの車に乗っけてもらいます。毎回、数人のチームメイトに連絡をとり、だれかしら捕まえるのが日課です。

自主練習は家の近くに公園があるので車は必要ないです。

仕事

仕事先までは3km、自転車で10分なので基本自転車です。コンディションによっては軽いジョギングで行きます。問題は天気の悪い日で、その日はバスを利用します。ここが不便なところで所要時間はだいたい45分といったところです。

買い物

買い物も基本的にはバスか自転車です。その時の荷物次第でバスを利用します。バス停から家まではそれなりに歩きます。

僕の生活の基本はこの三つです。車がないということもあって、休日に出かけるということもあまりないです。友達と遊びに行くときや、ご飯に行くときはすべて誰かに乗っけてもらうかバスです。こっちではUBERが発達していて現地の人は多く使うのですが、節約も兼ねて僕は極力使いません。
出かけないか、誰かに乗っけてもらうか、バス。この三択です。

車がないと不便なこと

こんな生活をみると「やっぱり必要ないじゃん」と思うかもしれませんが、不便だなと思う事は多々あります。

一つ目は時間。車を使わない分、移動に時間がかかってしまいます。バスの本数もそこまで多くなく20ー30分待つこともあります。目の前でバスが通り過ぎて行った時や、バスが全然来なくて遅刻しそうになった時など、当て場のないイライラに包まれます。

次に、先のことを常に考えておかないといけないことです。主に天気です。車であれば毎日同じ時間に同じ準備をすることが可能ですが、車を持っていないとそうはいきません。常に次の日の天気をチェックしたり、トレーニング場まで乗っけてくれる人を確保したりと少しめんどくさいです。特にトレーニングに関しては、ほんとうは早く行ってはやく準備したいのに、乗っけてくれるチームメイトが時間にルーズだったりするとそうはいきません。融通が効かせられないのが不便なところです。それどころかチームメイトを確保できなくてタイムリミットが来て、練習までに2,000円近くけてUBERを発動した事も数回あります。

あとは、休日に好きなところに出かけられないところです。ニュージーランドには少しドライブすれば魅力的な自然スポットがたくさんあります。自然を好む僕にとってはたまらないのですが、全くと言って観光出来ていません。この国に来て、どこにも行っていないのは僕くらいです。

これだけはほんとうに車があればな、、、と思う所です。

車をもたないの生活のよいところ

こんな不便な思いをしてまでも車をもたないことに意味はあるのか。正直、貢献している気もしない地球温暖化のためだけに車を手放すべきなのでしょうか。

僕が思うに他にも良いことはたくさんあります。

1.たくさん本を読める

車を運転するということは他のことができなくなるということ。しかしバスになると好きなことに時間を使えます。これが僕が車よりも時間を要するにもかかわらず、バスなどの公共機関が意外と好きな点です。しかも、僕は電車やバスで本を読むのが結構好きです。日本で電車通学していた時から、なぜだか分からないけど、集中出来てよくインプットできることが多かったです。ある程度の雑音や邪魔、その時聞いている音楽や景色が、本の内容とリンクして記憶に定着しやすいのかもしれません。移動時間をただの移動時間にしないという点において、バスなどの公共機関の利用はおすすめです。良い時間の使い方をすると自己満足ですが、達成感なども味わえてメンタルにもよいです。

2.人と話せる

正直言って、毎回だれかを確保するために連絡するのはめんどくさいし、もともと一人の空間が好きだったので、車に2人きりというのもあまり好きではありませんでした。申し訳ない気もするし。
ただ外国に住んでいるということもあって、この時間はとても有意義に思います。普段は聞くことの出来ない話や、その人について知ることができたり、近況を話すことができます。英語の勉強という面でもここは活躍していると思います。他の人がいると聞けないことや、2人だからこそ話せる時間というのは海外生活においてとても貴重だと思います。そんなとても重要なコミュニケーションの時間を得られるという点で「車をもたず、だれかに乗っけてもらう」というのはおすすめです。

3.心と体の健康

大学生の時、満員電車での通学から自転車に変えた時びっくりするほど清々しい気持ちになったのを鮮明に覚えています。おじさんたちと密着することや、時にはイライラしている人に八つ当たりされたりしたこともあり、当時はそれがほんとうにストレスでした。特に僕は「自分ではどうしようもないこと」による生活の影響がとても嫌いみたいで、電車の遅延などによる授業や部活への遅刻が本当に嫌いでした。そんな生活から片道45分の自転車通学に変えた時、ストレスが吹っ飛びました。
こっちでも同じような経験をしています。朝、渋滞で並んでいる車の横を自転車で颯爽と追い抜かすときの優越感は半端ないです。アホみたいに思えますが、心の健康にはこういう些細なことが大切な気がします。
車に乗って、この渋滞でイライラするのか
自転車にのって渋滞に巻き込まれずさわやかな朝を送るのか

この違いは間違いなく大きいです。渋滞に巻き込まれている人たちのイライラは外から見ても分かります。満員電車の中にいる人たちのストレスレベル測定したらすごい結果が出てくると思います。

ぼくはもう少し心の健康を大切にすべきだと考えていてそのために自転車はおすすめです。僕はアスリートなので自転車にしたからといって、体の健康面にそこまで影響はしませんが、そうでない人は心だけでなく体の健康も手に入れられて一石二鳥だと思います。

結論

以上がぼくの「車をもたない生活」へのすゝめです。ベジタリアンやビーガンの話でもそうですが、僕は「全人類全く動物を食べるべきではない」といった極論は支持しないし、「絶対に車に乗るな」とも思いません。ですが、ヨーロッパではガソリン車の生産がどんどん終了しているし、テスラなどの電気自動車などの勢いがすごいです。地球温暖化や気候変動のことを考えても今と同じように生活し続けるには無理があるように思います。きっと今みたいに好きにお肉が食べられなくなったり、気軽に車に乗れなくなる世界が来ると思います。

そんな時にストレスを感じないためにも、今から「車のない生活」に慣れておくのもありなのではないでしょうか。

とにかく今の日本やニュージーランドは少しおかしいです。明らかに車に頼りすぎだし、車がなくてはならないものと思いこみすぎていると思います。少しでもライドシェアの文化が浸透したり、自転車の魅力に気付き多くの人が環境に配慮するきっかけになればと思います。

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この記事を書いた人

Vegetarian x Athlete.
Football player in Australia(NPL South Australia).
Interested in Environment issues.

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