「気温が2℃上がると、どんな影響が出るの?」
みなさんは、答えることが出来ますか?
なんとなくやばいのは分かるけど、具体的には分からない。
きっと、これは私だけではないはずです。
そこで今回
・気温が2℃上昇するとどうなる?
・2℃と1.5℃の違い
についてまとめてみました。
環境問題に対する取り組みの第一歩はまず知ることからです。
しかし、日本では積極的に取り上げられておらず、得られる情報も少ないです。
そこで私が英語で検索し情報収集したものを分かりやすくまとめてみました。
今回の参照サイトはこちらです。
この記事を見ることで、なぜパリ協定で1.5℃を目指す事になったのかが分かり、人に説明できるようになります。
それではさっそく見ていきましょう。
気温が2℃上昇するとどうなる?
パリ協定で定めた目標「気温上昇を産業革命前に比べ、2℃より十分に低く、1.5℃以内に抑えるように努める」
はたして、2℃上昇すると、どんな影響が及ぶのでしょうか。
ここでは参照サイトにて紹介されていたものを、一覧にして紹介します。
Temperature Extremes
極端な気温
まず気温上昇についてポイントがあります。
それは、地球全体が均等に上昇するわけではないということです。
最も暑い時期に関しては、中緯度の地域が最も影響を受け、最も寒い時期に関しては、北極圏周辺が影響を受けます。
2℃の気温上昇が起きると、2015年にインドやパキスタンで発生した致命的な熱波が毎年発生する可能性があります。
人口の37%が深刻な熱波にさらされ、地球の中緯度地域では最高温度が最大4℃上昇します。
特に人口の多い地域に影響を与えやすく、熱にストレスをさらされる人口が2050年までに3億5千万人以上に及ぶ可能性があります。
寒い時期の温度も上昇し、2℃の場合、寒冷地の気温が最大8℃上昇し、寒冷化の季節も短くなります。
Droughts
干ばつ
2℃の気温上昇では約6100万人が深刻な干ばつの被害にあうことが予測されています。
一部の地域、特に地中海沿岸(南ヨーロッパ、アフリカ北部、近東を含む)、アフリカ南部、南米、オーストラリアにおいて、干ばつの発生確率や水利用に関するリスクが高まります。
Water Availability
水資源
2℃の気温上昇で水不足や水ストレスにさらされる人口がかなり増えます。
特に中近東を中心とした河川流域の人びとが被害を受けることになります。
地下水の枯渇リスクは気温が高いほどに、大きくなることも予測されています。
Extreme Precipitation
極端な降水量
2℃の気温上昇では豪雨現象が増加します。
特に北半球の高緯度地域(アラスカ/カナダ西部、カナダ東部/グリーンランド/アイスランド、北ヨーロッパ、北アジア)、チベット高原などの山岳地帯、東南アジア、北米東部では、洪水のリスクが高くなるとしています。
Impacts on Biodiversity and Ecosystems
生物多様性・生態系への影響
2℃の気温上昇は昆虫・植物・脊椎動物の生態系に甚大な影響を与えます。
昆虫を例にすると、人間が食するための農業を含む陸地の生産性を支えているミツバチ・ホタル・クロバエなどの受粉昆虫は、1.5℃の上昇に比べ大幅に拡大します。
火災、異常気象、外来種のリスクも高くなることが報告されています。
地球の高緯度地域にあるツンドラや北方林は、特に劣化や消失のリスクが高く、北極や高山地域ではバイオームの変化が考えられます。
また、森林破壊と山火事を増加させます。
Ocean Impacts
海洋への影響
・海面上昇
2℃の気温上昇は地球の海岸線の70%以上で海面上昇が0.2メートル以上となり、その結果、沿岸部の洪水や海岸浸食、水源の塩害などが増加。人間や生態系に多大な影響を与えます。
・極地の氷床
1.5~2℃の上昇により、南極氷床の不安定化および/またはグリーンランド氷床の不可逆的な消失により、数百年から数千年の時間スケールで数メートルの海面上昇が起こる可能性があるとしています。
その他、海洋温度・酸性度・酸素濃度・海氷にも影響を及ぼします。
その結果海洋生態系に変化が出てきます。
多くの海洋種が移動し、新しい生態系の出現。
これにより漁業や養殖業の生産性が低下します。
サンゴ礁も2℃の上昇では完全に失われることが予測されています。
サンゴ礁が失われると、その地域の生物多様性が急激に低下し、食料、生活、沿岸保護、観光、その他の生態系サービスをサンゴ礁に依存している世界の約5億人の人々に直接影響を与えることになります。
Impacts on Humans
人間への影響
人間に与える影響は、健康・生活・食料安全・安全保障・水の供給・経済成長と多岐にわたります。
これらのリスクが2℃の気温上昇ではさらに増加し、特に弱い立場の人々、一部の先住民、農業や沿岸資源を生業とするコミュニティが最も高いリスクにさらされると言われています。
最もリスクの高い地域は、北極圏の生態系、乾燥地、小島嶼開発途上国、後発開発途上国などです。
・熱に関連した病気と死亡
都市のヒートアイランド現象により熱波の被害を受ける人口が増えます。
特に高齢者、子供、女性、慢性疾患のある人、特定の薬を服用している人が最もリスクが高くなります。
・媒介性疾患
マラリアやデング熱のリスクが増加します。
・食糧安全保障
2℃の気温上昇では食糧安全保障が低下することが予想されています。特に、アフリカのサヘル地域、地中海沿岸、中央ヨーロッパ、アマゾン、西・南部アフリカで最大のリスクが発生すると言われています。
例で言うと、トウモロコシの収穫量は世界で5%減少すると言われています。
また、コメや小麦の栄養価も低下。
・経済的影響
2100年までに1.5℃の場合は2℃の場合よりも低くなり、熱帯地域と南半球の亜熱帯地域で最大の影響が予想されるとしています。
アメリカでは2017年のある研究では、地球温暖化が1度進むごとに米国は国内総生産の2.3%を失う可能性があると結論づけられています。
気温上昇2℃と1.5℃の違いとは?
なぜ2℃ではなく1.5℃未満に抑えなければならないのか。
その理由は、1.5℃に抑えないとやばいからです。
そこで、参照サイトより違いを抽出し表にまとめてみました。
1.5℃ | 2℃ | |
暖 | 地球人口の14%が5年に一度以上の頻度で深刻な熱波にさらされる | その数が37%にまで増加 |
寒 | 地球の高緯度地域で、最も寒い夜が約4.5℃暖かくなる | 6℃暖かくなる |
干ばつ | 2℃に比べ干ばつの発生確率や水の利用に関するリスクが大幅に削減 | 都市部では1.5℃に比べ約6100万人が深刻な干ばつの被害に |
水資源 | 2℃の上昇に比べ、気候変動による水ストレスが増大する人の数最大50%減少する可能性。 | 2050年、1.5℃に比べ1億8400万人から2億7000万人水不足の被害にあう人が増える |
降水量 | 1.5℃に比べ豪雨現象が増加。洪水や熱帯サイクロンの被害も増加 | |
種の喪失と絶滅 | 昆虫:6% 植物:8% 脊椎動物:4%が気候的に決められた地理的範囲が半分以下に。 | 昆虫:18% 植物:16% 脊椎動物:8%に跳ね上がる |
バイオーム(生態群)の変化 | 陸地のバイオームが別のバイオームへと生態変化することが予測 1.5℃に比べ13%の種の変化が増加し、50%多い面積になる | |
海面上昇 | 2℃に比べ0.1メートル海面上昇を抑えられる | 地球の海岸線の70%以上が0.2メートル海面上昇 |
海洋生物 | 海洋の生物多様性、漁業、生態系に重大なリスクをもたらす海洋温度の上昇、 それに伴う海洋酸性度の上昇、酸素濃度の低下などの被害 | すべてのリスクが増大。 低酸素濃度の水生生物が生息できなくなるデッドゾーンが増加 |
サンゴ礁 | 70-90%減少 | 全く存在しなくなる |
まとめ
初めにも紹介しましたが、本日参照させてもらったサイトはこちらです。
すべて英語ですが、図や動画などでの解説もあり、よりイメージしやすくなるのでないかと思うので、ぜひチェックしてみてください。
参照サイト:https://climate.nasa.gov/news/2865/a-degree-of-concern-why-global-temperatures-matter/
参考資料:http://www.ipcc.ch/sr15/.
2℃と1.5℃の気温上昇では、起こりうる被害が比にならないことが分かったと思います。
こうした実際に私たちが将来受けることになる被害を知ることで、具体的に危機感を抱き、パリ協定の目標にも興味関心を持ってもらえれば嬉しいです。
パリ協定について詳しく知りたい方はこちらもお願いします。
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