なぜ日本ではヴィーガンが広がらないのか。−日本特有の「空気」について−

なぜヴィーガンは日本では広がらないのか

今回はこれについてニュージーランドで2年、現在はオーストラリアでサッカーをしている経験から考えてみたいと思います。
今回に関しては日本とニュージーランドを比較して考えていきたいと思います。

目次

ヴィーガンの浸透度

今回はニュージーランドのカップ戦優勝したときを振り返っていきます。

やはり海外の方がヴィーガンやベジタリアンの浸透度は高いと思っています。
僕の経験の肌感覚でしか測っていませんが、
日本では

「22年間日本で生きてきてベジタリアンやヴィーガンの人が周りに一人もいなかった。」

一方で、ニュージーランドでは

「ニュージーランドに行って最初に住んだファームの娘がヴィーガンだった」
「チームメイトに3人ベジタリアンがいた」
「周りの人にもベジタリアンを数ヶ月トライしたことがある人が多い」

などの経験をし、ベジタリアンやヴィーガンが決して珍しいものではないという驚きが記憶にあります。

レストランに関しても日本ではベジタリアンやヴィーガン向けのオプションが用意されていたイメージがありません。(おそらく今はもっと増えてきていると思いますが)。
ですが僕がニュージーランドに渡った2019年の時点ですでに、ニュージーランドではカフェやどんなレストランに行っても分かりやすいようにヴィーガン・ベジタリアン向けのメニューが用意されていました。

なぜ、こんなにも差があるのか。

スタジアムはコロナの影響で無観客だった。

僕は島国という地理的特徴において日本とニュージーランドは似ていると思っています。
にもかかわらず、なぜここまでの違いが生まれているのでしょうか。

おそらくですが、今のヴィーガンのムーブメントはアメリカやヨーロッパが発祥だと思います。ということは日本やニュージーランドからすればヴィーガンは海外から入ってきた流行りということになります。

いわゆる輸入物であるヴィーガンがお互いに島国である2つの国でこんなにも差ができているのが僕にとってはとても興味深いです。

考えられる要因

決勝は特製刺繍入りユニフォーム。

もちろん言語の問題はあると思います。
世界で唯一の言語を話す日本人と、世界で一番話されている英語を話すニュージーランド人では、海外からの情報を受け取るスピードや量がぜんぜん違うと思います。
しかし、僕はそれだけではないと思います。

もちろんニュージーランドが移民国家であるということも関係していると思います。
国としての歴史も浅く移民が多いため、宗教も多く存在しています。
僕の周りでもアジア、ヨーロッパ、アメリカ、南米など世界中の国籍の人が生活していました。

国が違えば食の文化も違うし、特に宗教によっては豚肉が食べれなかったりもします。多様な人種が住む国だからこそ食のオプションが多く用意されているということも理由の一つだと思います。
歴史的も鎖国文化のある日本とは対称的です。
しかし、僕はそれだけではないと思います。

僕が考える最も大きな要因はこれからじっくり説明していきます。

ニュージーランドに来てからのカルチャーショック

試合は4−2で勝ちました。

考え方や価値観の違い。

抽象的でありきたりな言葉を使ってしまったのでもう少し具体的にいうと、「他人と自分」に対しての考え方が日本とはぜんぜん違うと感じました。

It’s your life

例えば、サッカー。

ニュージーランドでサッカーをしてて驚いたのは選手がふつうに練習を休むということです。

・家族の誕生日でディナーに行くから
・仕事が休みだからスキーしに行ってくる
・ペットの体調が悪いから

これらすべて実際にあった欠席理由です。

特に学生のほうが休む人が多いです。
テストが近づいてくると勉強のために休む人を多く見かけます。

僕が育ってきた日本ではどれもありえない理由で練習を休んでいたので、すごく驚いたし慣れるのにも少し時間がかかりました。けれど、サッカーに追われまくった学生時代を過ごした僕からすれば、サッカー以外にも時間を取れるニュージーランドの学生がとても羨ましかったです。

例えば、就職について。

日本では大学を卒業したらそのまま就職するのが一般的ですがニュージーランドではそうではありません。
高校を卒業した時点で、一旦旅をしたり、一回アルバイトでお金を貯める時間に当てる人が多かったです。

そのまま周りと一緒のタイミングで大学や就職をするのではなく、あくまで自分のタイミングで進む人が多かったように思います。

余談ですが、僕自身大学生の頃に、部活動の仲間と一緒に就職活動をしていました。2年目の卒業後にもう一度自分ひとりで就職活動をしていた頃に「全員が同じスーツを着て」「似たような髪型」を見た瞬間に、一年目には感じることのなかった気持ち悪さを抱いたことを今でも鮮明に覚えています。
それくらい無意識に同じ方向を向くことに日本人は慣れてしまっているんだと感じた出来事でした。


周りの人からしても「そりゃないだろ」みたいな理由でも、It’s your life.という考え方が根付いているので相手の価値観に干渉することがありません。

当事者にとってもIt’s my life. なので「そりゃないだろ」みたいな理由でも、やたら自信に溢れてるし強気です。

「空気」について

試合後のロッカールーム

こうした文化の違いが起きるのには日本特有の「空気」が関係していると僕は考えています。

先ほどのサッカーの話を例にすると、僕ら日本人が練習を休まなかったのは練習に行きたかったからではありません。
練習を休めなかったからです。もう少し詳しく言うと、練習を休むことによって周りのチームメイトや監督からの評判・評価を気にして休めなかったのです。

以前こんなツイートをしました。

オフがほとんどなかった僕のような高校では、「みんなきつい思いをしているんだからお前も我慢しろ」こんな空気がものすごく漂っています。
冷静に考えたらそれが合理的ではないことは分かっているのですが、自分一人抜けがけするような気持ちには耐えられないのです。

その結果、日本では集団で行動することに心地よさを感じ逆に一人だけ違う行動をすることに対してアレルギーを感じやすいのだと思います。

思い返してみるとサッカーに限った話ではないと思います。

例えば学校の校則。今でも髪型や髪色が校則で定められ自由に自己表現が出来ないというニュースをよく目にします。
もちろん学生の中には髪を染めてみたかったり、タトゥーに興味がある人は多くいると思います。
でも彼らがそれを出来ないのはなにも校則があるからではないと思います。

彼らが出来ない理由は「周りからの声」が気になるからです。そしてこの「周りからの声」が一人に対してポジティブではないものになる理由は、嫉妬心があるからです。

「自分だってしたいのに我慢してるんだから、他の人も我慢すべき」
こうして僕らはお互いに居心地の悪い場所に閉じ込めあっていたように思います。

日本にはこうした独特の空気があります。海外にはありません。少なくとも僕はニュージーランドでこうした空気を一度も感じたことがありませんでした。

要は、日本では新しいものや周りと違うことをすることに対してのハードルがとても高いように思います。

ヴィーガニズムへの影響

たぶん優勝後の恒例行事

僕はこうした空気が新しく海外から入ってきたヴィーガンに対しても起きているのではないかと考えています。

僕は海外でベジタリアンを続けてる間にいろんな質問をされたり情報をみるのですが、そこでも日本人は少し違うことに気が付きました。
外国人の人によく聞かれるのは「なんでベジタリアンやってるの?」「きっかけは?」「なんか変化感じた?」くらいです。すごくあっさりしてます。

ですが日本でよくみる情報や質問には、「肉食べないなんて考えられない」「好きなものを食べて生きてなにが悪い」「みんなと食べるときとか不便じゃん」などといったネガティブな質問や意見が多いような気がします。
まるで、肉や魚を食べている自分をどうにかして正当化したいかのようにです。別に誰も責めてなんかいないのにも関わらずです。

僕は別に日本でヴィーガンやベジタリアンが広まってないとか、海外に比べて遅れているとかには全く興味がありません。
しかし、日本の新しいものに対する嫌悪感や、他人と違うことに対する恐れ、違うことをする人に対する集団での強制はヴィーガンに対しても反映されていると思います。僕はこういった文化は良くないと思うし、緩和されていくべきだと願っています。

まとめ&おねがい

いい写真。いい思い出。

遅かれ早かれヴィーガンやベジタリアンのムーブメントは世界中でもっと大きくなっていきます。健康だけでなく環境的に考えてもです。そしてそれは必ず日本にも広がってきます。

僕の個人的な意見としては、「ヴィーガンやベジタリアンはファッション」です。

この言葉は誰かがいっていた言葉なのですが、すごく的を得ていると思います。
ニュージーランドで多くのベジタリアンやヴィーガンの人たちをみてきましたが、彼らの理由はさまざまでした。

ですが、僕が思うに彼らはリテラシーが高かったように思います。
他の人と比べて健康や環境、そして動物に対する問題と向き合ってその結果の一つとしてヴィーガンを選択してる人が多かったです。

なので僕はヴィーガンやベジタリアンの人をみると、リテラシーが高い印象を持っています。これは立派なファッションだと思います。

最後におねがいです。

ヴィーガンやベジタリアンにトライしたことがない人は

・食わず嫌いせずにまずはトライしてみてほしい

・ヴィーガンやベジタリアンをしている人たちが不快になるようなことは言わないであげてほしい

→肉を食べないと栄養が何だ、とか言う人がいますが、そういう人はどうせ肉を食べていても栄養不足だと思います。細かいことを言い訳にしてトライしないのは何事においてももったいないです。

ヴィーガンやベジタリアンの人たちは

・強制はしないであげてほしい

・肉を食べている人が気分を悪くするようなことは言わないでほしい

→自分の選択で食事をしているので、他人に干渉すべきではないです。

お互いにお互いを受け入れられる世界にもっとなっていけば良いなと思います。

なぜなら

It’s my/your life. なので。

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この記事を書いた人

Vegetarian x Athlete.
Football player in Australia(NPL South Australia).
Interested in Environment issues.

コメント

コメント一覧 (1件)

  • とても良い記事でした。日本以外を知る方の日本への意見はとても参考になります。
    ビーガンを主張する人、批判する人どちらにも課題があると思います。
    自分はどう生きたいか。自分にベクトルを向けることが大切だと再認識しました。
    ありがとうございました。

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